- Recommended -
赤系果実の甘酸っぱさと、ギュッと込められた旨味が主体となっていますが、決して軽快にはなりすぎず、むしろ思いのほかしっかりとした重量感があり(ある種黒系果実的な重量感)、非常に素直な落ち着きを見せる全体像など、いたってポジティブな印象を受けます。特に抜栓直後の印象が非常に良く、じっと動かず待ち続けた状態からの素直な開放感、ちょっとしたカタルシスを感じる表情の開花具合が心地良いこともあって、キュッとした果実の甘味や素性の良さを存分に楽しむことが出来ます。
時間の経過とともになだらかに落ち着き、徐々に酸味の資質の中に仄かな小屋系風味が表出しますが、特にネガティブな方向に転ぶわけではないので、決して世界観を崩すようなことはないと思います。キュートな表情を持っているので、多少冷やし気味でも特に問題はありませんが、どっしりとした内部資質を重視してやや高めの温度にすればより楽しめる部分も見えてくるので、各々の好みに合わせて調整しつつ、表情や資質の変化そのものを楽しんでいけば良いと思います。各温度帯における対応能力は比較的高い系統にあると言えますが、それでも温度を上げすぎると果実の甘味がぼやけて多少締まりが悪くなる傾向にあったので、あくまでも常識的な範囲での調整をお勧めします。
(2011/07)