- Good Quality -
カサルヴェントも手掛ける造り手「リヴェルナーノ」による本家「キャンティ・クラッシコ」。ピンクのモダンなラベルが非常に印象的ですが、スタイルはサンジョヴェーゼらしさと現代的手法の両方をミックスしたようなタイプになっています。
ヴィンテージが異なるので一概に比較は出来ませんが、カサルヴェントのキャンティ・クラッシコと比較すると、より骨格の堅牢性、果実を含む内容の充実感に勝る傾向にあります(基本姿勢は似ている)。あわせてMLF的な乳系の丸さもより強く、早くから飲める指向性も取り入れられてはいるものの、同時にポテンシャル系の要素も強いので、その全容が開花することを基準に考えると、まだまだ数年程度は寝かせておく方が良さそうな印象を受けます。
抜栓日はやや味覚で感じる表層に力点が置かれているように感じられますが(現代の嗜好を組んだ早飲み資質)、翌日に持ち越すと、ガラッと位相がの変化し、力強いタンニンや骨格における堅牢性の方が印象深くなります。サンジョヴェーゼらしい陰な性質が色濃くなるので、酒質の強さと固さからやや飲みにくくなる傾向にはありますが、そこからさらに時間を与えると、熟した果実味や程よい丸みとの距離感も縮まってくるので、全体像としては「早くから飲めるよう考慮はしているものの、可能であればじっくり熟成させて表情を開花させて欲しい」といった指向性を感じます(このあたりの基本姿勢がカサルヴェントとの最大の差なのかも?)。
テイスティング的な観点ではリヴェルナーノの方に分がありそうですが、カサルヴェントの「リラックスして楽しめるスタイル」というのも捨て難いものがあるので、飲み手の嗜好や供する場面など、適材適所で使い分けるというのが現実的な解かもしれません。
(2011/05)