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ラ・モッラの地で素晴らしいバローロを生み出す造り手「マリオ・マレンゴ」ですが、高樹齢の葡萄で少量生産されるこの「ドルチェット・ダルバ」にも要注目だといえます。
ドルチェットらしい甘味を兼ね備えながらも、若さや固さのない滑らかさが特徴的で、一般的なドルチェット・ダルバとは異なる落ち着いた表情なのが印象的です。古木らしい緻密さに、シルキーな舌触りと薄すぎず厚すぎない程よい体躯が加わり、どこかが突出するようなことのない、良い意味での「脇役感(それでいて超質実)」が非常に好印象となっています。
抜栓日はやや朴訥で表情もフラットな傾向にありますが、時間とともに徐々に開く傾向にあり、2日目、そして3日目に持ち越すと、内に秘めたる美点がキッチリ露になります。アフターにかけて口中に渇きが訪れるので、思った以上にタンニン含有量が多そうな印象でもありますが、葡萄の持つ力や造り手の手腕などのおかげか、決してネガティブな方向に転ぶことのない落ち着いた仕上がり感となっています。
分かりやすく幅広い層に訴求するようなスタイルではなく、ともすればメジャーワイン誌における点数評価も伸び悩みそうな印象ではありますが(それ故にWAの高評価にある種の驚きが…)、不思議とこのワインの持つ資質(存在意義)そのものをポジティブに評価する必要があると感じます。クラスや価格帯とは関係なく、心に直接染入るような不思議な浸透力と説得力を持っているので、こういった「単純に他と比較するような類いのものではない」といった立ち位置のワインも是非経験しておいて欲しいとところです。
(2011/05)