- Good Quality -
造りそのものは程よく纏まっていますが、抜栓日の印象があまり良くなく、ラベルから受ける印象に近いような「やや彩度の高い資質」をベースとした安易さによって、どうしても「1杯飲めばそれで十分」といった気分になってしまいます。しかし、現代的な醸造技術のベースが感じられることもあってか、翌日に持ち越すことで熟した果実による余分な力が程よく抜け、そこから思った以上の昇華感を見せてくれます。
時間の経過により、苦みや渋み、そして酸はしっかり残るものの、果実の彩度がグッと控えめになることで、全体的に「皮まで使って造ったオレンジベースのフルーツジュース」といった印象に変化します。かなり飲みやすく、深く考えずに素直に楽しめる系といった印象でもあるので、ある意味、ワインの名の通りというか、振る舞い酒や新年の祝いの場など、気軽に杯を交わすのに持ってこいといったところかもしれません。3日目になると更に熟れて飲みやすくなりますが、この表情は思いのほか好印象なので(初日のあざとさが嘘のような変化)、基本として「低解像度でのっぺりとしたテクスチャ感」という方向性ではあるものの、個人的には十分アリな内容だと思います。
(2011/01)