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驚くほどオー・シェゾーとは世界観が異なり、抜栓直後から素直に楽しめる軽快なスタイルになっているのが印象的です。かなり軽いタッチで、高めのトーンにハキハキした表情、そしてカチッとしたベースや身近な果実感などによって、かなりグイグイ飲めてしまいます。オー・シェゾーと同列で比較するとさすがに物足りないものがありますが、これはこれで単体として向き合い、より建設的になってこのワインの良い部分を引き出し尊重することが大切だと思います。
今からでも気軽に飲めてしまう傾向にありますが、それでも翌日に持ち越すことで表情に大きな変化が見られます。ハイトーンな表情に加えて重めの土台が現れることで、結果として中央の内容に欠けるややアンバランスな内容へと推移します(微妙に物足りない印象)。しかし、ここから更に日を置くと、今度は欠けていた中央の豊かさがどこからともなく現れ、ヒリヒリするようなタンニンと共に当初は感じられなかった低重心系の安定感と安心感が加わります。最終的には、思いがけずオー・シェゾーの背中が遠くに見えるような、どこか共通する世界観を感じるまでの変化が現れましたが(かなり意外な変化)、その全体像を俯瞰すると、やはり「成長するだけの要素と可能性は十分ある(現段階での評価確定は時期尚早?)」といった印象でもあります。とりあえず、抜栓日に見せてくれる「親近感ある軽快な飲みやすさ」を重視してサクサク飲むのもよし、ポテンシャルを信じてじっくり熟せさせ向き合うのもまたよし、といったところかもしれません(もう少し手頃な価格だとあり難いところですが…)。
(2010/12)