- Good Quality -
揮発感あるアルコールや仄かなメントール香などのハイトーン系の風味と、たっぷりと身の詰まったどっしりした果実が同位に存在し、どこか未熟系の持つ表情と過熟系の持つ表情が融合したかのような面白い表情を生み出しています。
ビオディナミで栽培した高樹齢のティンタ・デ・トロのポテンシャルなのか、このレンジのワインとしては類を見ない充足感、体躯内充実度を誇りますが(スパイシーな風味やしっかりしたタンニン有り)、その反面、それだけの内容を支え収めるような「骨格(屋台骨)」を感じるようなタイプではないこともあり、どこかメルロー的な豊満さ、柔らかく口当たりの良い滑らかさといった、比較的身近な存在としての雰囲気が漂ってきます(威厳を感じるようなタイプではない)。
その充実した内容を考えると、心に訴えかけてくるような、本質的な訴求力がやや控えめなのが気になるところではありますが、それでも全体的には非常に良くできたワインであり、価格帯を考えるとその満足感は必要にして十分なものがあると思います(2千円台中盤のワインとも勝負できそうな内容)。生産本数が22,230本と少量なのでやや手に入りにくいかもしれませんが、日常で楽しめるレンジのワインとしてはなかなかの存在力を発揮してくれるので(ラベル的にも)、市場で見かけることがあれば是非試してみて欲しいところです。
(2010/09)