- Good Quality -
抜栓直後から素直に美味しく、そしてバランスのとれた表情が難なく広がります。シラー60%、グルナッシュ40%というセパージュで、アルコールも14.5%と高めですが、重たさや野暮ったさなどは皆無で、どこか南仏というより低価格高品質系現代スペインワインに近い世界観を感じます。そういう意味ではグルナッシュが程よく効いていると言えるのかもしれませんが、土着系の個性ある表情と葡萄の凝縮感を持ちながらも、体躯はスッキリと引き締まりスマートな立ち振る舞いとなっているので、その世界観にはどこかボルドー的な側面も感じられます。
凝縮感、美味しさ、飲みやすさ、そして安定感がバランス良く同居するスタイルで、グラス1杯による短時間のテイスティングを行った場合はかなり高い評価が得られそうな印象を受けます。ただし、数日経過してもその資質や表情に大きな変化がないので、仕上がりレベルの割には「もう一杯飲みたい」「まだまだ向き合っていたい」といった継続性ある魅力が不足する傾向にあります。とはいえ、近年多くみられる同系統の「安定感と品質を維持しながら早く楽しめるワイン」と比較すると、その完成度は半歩以上進んでいるような印象があり、そこに過剰な人為感が感じられないことや、あくまで日常レベルの価格帯であることを考えると、実はかなりのポテンシャルと可能性を秘めているのかもしれません。ファーストヴィンテージでここまでキッチリ仕上げてきているのはさすがだと言えるので、今後の更なる進化と発展に期待したいところです。
(2010/03)