- Good Quality -
このレザマンのファースト・ヴィンテージは2003年。通常のモン・ペラとは異なり、粘土質の土壌で造られる別仕様となっています。
抜栓日から楽しめる今風の仕立て具合となっており、やけに乳っぽい風味やその丸みが口当たりの良さを生み出す反面、やや儚さや脆さを感じる傾向にもありますが、それでも全体としてはそれとなく纏まっている傾向にあり、一定レベルの堅牢さや凝縮感など、求められている水準は総じてクリアしてきている印象を受けます。
抜栓日のやや安直なスタイルとは打って変わって、2〜3日経過させるとボルドーらしい体躯のしっかり感や緑系のハーブ風味が出始め、3〜4日で思った以上に良質なコアを垣間見せてくれます。分かりやすさと本質の両方を兼ね備えていると言えなくもないのですが、それよりもやはり「安直さを捨てて質実さを追求した方が結果としては良いものが得られるのでは…」という印象の方が強くなります。とはいえ、市場の求めるものや経営的観点からすると、早く飲んでも伝わる良さというのは非常に重要だと思うので、近年増加傾向にある同系統のワインも良し悪しではなくひとつの方向性として受け止めるべきなのかもしれません。
全体的に口当たりの良い安定感ある分かりやすい美味しさを持っていると言えるので(相対的に人の力の存在が大きいのかも?)、大勢でグラス一杯ずつ飲むような方向だと大いに楽しめると思います。ただし、表層から受け取れる魅力以上のものがあるわけではなく、かといってそれ以下のものも特に無いので、結果としては深く考えずに目の前だけを見て素直に楽しむのがベターなのかもしれません(といってもポテンシャルは結構ある)。残念ながら多少価格が高めな傾向にありますが、それでもマーケティング主導というほどの逸脱さではないので、もし二千円台で購入できるようであれば十分満足できそうです。
(2010/03)