- Good Quality -
良年に挟まれたことでやや目立たない傾向にある2005年ですが、強い酒質や明確なエネルギー、そして豊満な果実味といった要素が感じられないものの、そこにあるのは欠落感ではなく堅実さや古典的といったものなので、ネッビオーロの持つ陰な性質や職人気質が伺える分、むしろ全体的には前向きな印象を受けます。
以前飲んだ2003年とはまったく表情が異なるので、良い意味で「ヴィンテージの影響をそのまま受けている」と言えそうです。今回の2005に関しては、現代的なスタイルの「分かりやすい美味しさ」を求める人には受け入れ難い内容ではありますが、逆に言うと「豊かな果実の甘味を感じるワイン」に食傷気味な人であれば、ちょっとした懐かしさとともにどこか安心感を覚えるかもしれません。
以前よりも価格が下がっているのも有り難く(もう一段下がれば文句なし)、品種やDOCに対して「理解を深める」という観点で向き合えば、思いのほか満足できるのではないでしょうか。
(2010/01)