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土着品種「ネロ・ブオーノ」を100%使用したワインがこの「バッカロッサ」。厳しい評価を下すことで有名なイタリア人ワイン評論家「ルカ・マローニ」が、20,023本中3番目という高い評価を与えたことでも話題となりました(彼の評価では常に多くのワインが90点未満にとどまる)。
近年多く見られる「現代スタイル」+「土着品種」という路線を踏襲しており、いたって隙のない高いレベルでの構成力が光っています。凝縮感に富み、豊富なタンニンや過熟系の表情を感じる果実味など、力強くエネルギーに満ち溢れているのに関わらず、綺麗な表情とスタイルに裏打ちされたタイトな姿が美しく纏まっています。ハーブや漢方系の要素が織り成す滑らかな表情も程よいアクセントとなり、まさに現代における総括的パッケージング力をうまく活用して土着品種を光り輝かせた、といった世界観になっています。
多くの人にネロ・ブオーノの魅力が伝わるであろう優れた作品ではありますが、その個性故に「味覚で感じる純粋な味」としてはそれなりに飲み手を選ぶ傾向にあるかもしれません。今飲んでなんら問題なく楽しめますが、抜栓直後は特にその造りからくる若干の虚栄さも加味されるので(資質と表情が多少カザマッタ的かも?)、好みに沿わなかった場合は本来の姿以上にネガティブな印象を受けるかもしれません。しかし、そのポテンシャルは非常に高く、「すぐにでも飲めるが長期熟成させることも可能」という有用性あるスタイルになっているので、今飲むにしてもグラス1杯だけでは判断せず、可能な限りじっくりと腰を下ろして数日単位のスパンで堪能することをお勧めします。
(2009/12)