- Recommended -
コルクは長めでしっかりしたものですが、「Leroy」の刻印なども一切なく(無地)、おまけにコルクの全ての面が紫に染まるほどの状態で、よくみるとキャップシールにまで染み渡る程の痕跡があり、どうやらかなり盛大に吹いたボトルのようです。正規ルートのルロワですが、同じように液漏れがみられるボトルが他にも散見されるようので、全体的に「吹きやすい」状態なのかもしれません(伝統的に柔らかいコルクを使用しているのが原因とも言われる)。
今回の1本は完璧な状態とは言えなさそうですが、それでも中身に関しては特に問題はなく、僅かに質感にざらつきがあるもののいたって許容範囲で、抜栓後しっかり時間をかけて空気に触れさせればそのポテンシャルを存分に開花してくれます。
抜栓日の印象はまさに「ルロワ節」といった内容で、多少還元状態にあったのか、当初は良質なクリュ・ボジョレーのようなどこかガメイ系が持つ溌剌とした表情が印象的でしたが、時間とともに徐々に滑らかでしなやかな表情が生まれ、心底心地よいたおやかな旨味が具に心に浸透していきます。同じジゴンダスでありながら、直前に飲んだサン・コムとはまったく別次元に存在するかのような、根本的に異なる性質&表情を持っていることにかなり驚かされます。
翌日に持ち越すと、一転して強固なタンニンがベースとなり、スパイシーな表情も加わって「まさにジゴンダス」といった世界観へと変貌を果たします。当初の印象とはかなり異なりますが(かなりサン・コムに近くなる)、ルロワらしい流麗感と浸透性は健在なので、やや割高という価格的な側面さえ問題にならなければ、是非一度は試してもらいたいところです。
(2009/10)