- Very Good Quality -
非常に力強く屈強な表情がガツンと打ち出され、突き抜ける程の苦みと渋みになって伝わってきます。ヒリヒリするような胡椒系のスパイシーさがあり、その影に非常に硬質で小粒な黒系野生果実の風味を仄かに感じますが、各要素の身の詰まりや充実さに反し、重量感そのものはそれほど重いものではありません。概要を総括すると、骨格はコート・デュ・ローヌの延長上にありながら、そこに内包する複雑さはプチ・シャトーヌフ・デュ・パプといったところでしょうか。
現状ではとにかく苦み&渋みが強く、果実系の柔らかさに対して総量が多く距離もかなり離れている傾向にあります。バランス面にやや問題があり、とにかく飲み手に「忍耐」を強いる「剛」や「律」の側面が色濃くなっていますが、3日目あたりまで持ち越すと、ようやくコアにある柔和さが現れ、抜栓当初とは異なる全体像がおぼろげながらも見え始めます。時間を置いても本質的な厳しさが完全に解けることはないので、気軽に飲むと痛い目に合いそうではありますが、それでも暴れることなくしっかり纏まり、むしろ端正な表情であるとも言えるので、可能であればポテンシャルが完全に開花し昇華しきるまで熟成させたい気分です(とりあえず3〜5年程度は様子をみたい)。
(2009/10)