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サン・テステフの2級格付け「シャトー・コス・デストゥルネル」が、新たに国際市場向けとして生み出した現代的スタイルのワインがこの「グレ」。今回の2003年がファースト・ヴィンテージで、セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ-38%、カベルネ・フラン2%(現在はカベルネの比率が80%まで引き上げられ残りはメルロー)。熟成は半分を新樽、残り半分をコスの2年樽で行っているようです(現在も新樽比率は50%)。
色調が非常に濃く、それ相応に従った密度や凝縮度がしっかり感じられる、明確に味が乗ったスタイルだと言えます。まさに多くの人が満遍なく好みそうな中庸さで、この分かりやすい表情と仕立て具合はまさに今風の国際市場向けワインといった印象です。抜栓直後はややカベルネ系の茎っぽさやハーブ風味が沸き立ちますが、懐にあるゆとり具合と全体のバランス感、そして2003年というヴィンテージの指向性がうまくポジティブな方向へと導いてくれるので、欠点として気になるようなことは特にないと思います(抜栓後に時間を与えるか、もしくは翌日に持ち越せば綺麗に昇華してくれます)。
ファースト・ヴィンテージでありながらも全くブレのない世界観が構築されており、そのインパクト重視のスタイルからして「多くのワインを並べてのテイスティング」や「点数評価的なテイスティング」であれば、かなりの力を発揮してくれそうな印象を受けます。しかし、表面から伺える以上の「何か」を持っているわけではなく、向かい合って深層を探るようにじっくり掘り下げてみても、新たな発見や滋味深さがあるわけでもなく、決して特別な風景が見えるような神秘性もありません。とはいえ、エストゥルネルの血筋や手綱捌きといった「一流のスタッフ力」は十分すぎる程堪能できるので、総じて価格帯に見合った良質なワインということに間違いはありません。一般的なメドックのワインが持つ世界観を継承しつつ、それでいて充実感を別次元にまで高めたような系譜にあるということを事前に理解しておけば、期待するだけの満足感と享楽さは十分得られると思います。
(2009/09)