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インクやカシスなど、強く凝縮した姿を彷彿とさせる、ムンと迫る香りにまず圧倒されます。色調は非常に濃く、ジンファンデルらしいスパイシーで振幅ある表情をしっかり披露してくれます。赤黒系の果実の表皮を通り、そのうちにあるプリッとした白い果実も感じられることもあり、強い酒質の凝縮した要素はあるものの重量感はそれ程ではありません。さらに内部を構成する肉質に思ったよりも柔かい側面があるので、高アルコール(15.5%)ゆえの圧迫感はあるものの、飲みにくさや近づきにくさといった指向性は特にないと思います。
2008年度のWSで年間10位に選ばれただけのことはあり、この価格帯としてはかなりしっかり仕上げてきている印象を受けます。絶対値としての美点というよりも、以前試飲した2005年を基準とした相対的進化を感じる内容ではありますが、以前散見されたギラついた高彩度の要素は影を潜め、抜栓直後からしっかり地に足の着いた落ち着きを見せてくれるので、受ける印象としては大幅にポジティブなものとなっています(とはいえ本質的なポテンシャルはプラスアルファ程度の差かも?)。
(2009/07)