- Good Quality -
パーカーに「スペインのペトリュス」と言わしめた「ペスケラ」を造るアレハンドロ・フェルナンデスが、新たにロア・デ・ドゥエロ村の農園を購入しテンプラニーリョを植え付け、「コンダード・デ・アサ」として1993年にファーストヴィンテージを造り出しました。
非常にバランスよく整っていて、低刺激の程よいハーブ系風味をアクセントとし、現代的造りによる充実感や凝縮感と、しっかり熟した果実がうまく表情を構成しています。アレハンドロ・フェルナンデスらしい魅力ある造りでしっかりした密度を感じますが、決して重量感あるようなタイプではなく、軽快な物腰とサラッとした質感が功を奏して夏場でも無理なく飲み進めることが出来ます。
素直に楽しめる「分かりやすさ」がしっかり保持されているので、味覚として感じる部分においては特に不満はないと思います。ただ、全体的に多少質が柔らかく、フィニッシュがやけにあっけなく多少ぶっきらぼうな傾向にあるので、充実した要素に比例するような「凄み」や「秀でたポテンシャル」は特に感じられません(WAでは2012年以降がベストとなっているが今飲んでなんら問題なし)。数日経過してもこういった資質にブレはなく、かなり安定した酒質を披露してくれますが、さすがにボトルの底の方になると、細かい澱による重層感が加わることもあってか「フィニッシュのあっさり感」が軽減され、延長線上にあるより上のクラスの風景が感じられるようになります。
突出するようなクセもなく、おしなべて良く出来たワインではありますが、それ故に「アサでなければいけない」といった絶対性に乏しく(当然ながらこのあたりは一長一短)、価格が上昇している傾向にあることも考慮すると、毎年チェックしている人やアレハンドロ・フェルナンデス系のワインが好みの人以外となると、やや訴求力に乏しい傾向にあるとも言えます。
(2009/07)