- Good Quality -
サン・ジュリアンに位置する格付け第4級の「シャトー・ブラネール・デュクリュ」。今回の2003年は、1級のシャトー・ムートンにヘッドハンティングされた「フィリップ・ダルーアン」が醸造責任者として勤めた最後のヴィンテージになります。
ヴィンテージの恩恵を受けた豊かな姿や、猛暑由来のジャミーな果実味を想像していましたが、実際にはかなり指向性が異なり、思った以上に酸が主体となった程々サイズの仕上がり感となっています。香りそのものはかなり魅惑的で、やや緑っぽいものの品のある濃厚な樽要素が心地よく、どことなくカリフォルニアのボルドースタイルといった印象を受けます。しかし、実際の体躯密度はいたって通常レベルで、ビターチョコ系やスパイシーな風味は感じられるものの、特筆すべきような内容ではありません。
抜栓日は多少の硬さが感じられ、若干ギクシャクした資質も感じられますが、翌日に持ち越すことで一気に優しくたおやかになり、こぢんまりとしながらも可愛らしい果実味が楽しめる仄かな陽的要素が生きてくるので、全体としては概ね良く出来た良質なボルドーワインといった印象です。パーカーの評価は異常な程高くなっているので、この評価を基準とするとややガッカリするかもしれませんが、現実的に考えると価格相応の内容になっていると言えるので、必要以上に大きな期待を抱かなければ概ね満足できると思います。
(2009/06)