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現代的な纏まり感があり、ベースとなる部分における厚みの増加や明確なスパイシーさ、そして良いポジションに位置している酸など、果実的なキュートな魅力よりも質実さや本質的なポテンシャルに重点が置かれている印象です。2006年とはややスタイルが異なり、表情や構成要素に違いが見られますが、ヴィンテージの恩恵を受けた内容の充実感がある分、今すぐ飲んで即全開に楽しめるというよりも、まずは抜栓2日目から、そして出来れば数ヶ月〜半年程寝かせてから飲むといった方がより高い満足感が得られそうです。
抜栓日は、現代的な醸造スタイル故のとってつけたような表情が多少みられますが、それでもコアに秘めたエネルギー感、そして葡萄そのものから発せられるような力など、扉の向こう側で静かにじっと潜んでいるのが明確に伝わるので(以前のヴィンテージを飲んでいればより鮮明に伝わる)、当初の印象が好みに合わない場合であっても、潜在的な要素が解放されるまではじっくり待って欲しいところです。
前年のような「なんら足す必要も引く必要もなく、今飲んで文句なく満足出来る」といった指向性とは若干異なるので、全体を通じての完成されたバランス感はやや影を潜めていますが、それでも一般的な側面としての「ワインの評価」はこの2007年の方に分がありそうなので、まったく変化していない価格を考えてもお薦め度はかなり高そうです。
(2009/06)