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比較的マイナーな地区から高品質なワインを生み出すことで有名な、グザヴィエ・コペルが1996年に設立したネゴシアンである「プリモ・パラテューム」の「ヴァン・ド・ペイ・ドック」です。以前試飲したクラシカとは違い、今回のものはより上のクラスとなる「ミトロジア」となっています。同じヴァン・ド・ペイではありますが、クラシカとはセパージュが大きく異なり、カベルネ・ソーヴィニヨン50%、カベルネ・フラン45%、メルロー5%、そしてさらに新樽比率は100%で、生産本数は半分の4,800本となっています。
10年熟成のミトロジアということで期待が膨らみますが、反面、この10年の流通経緯と、今なおクラシカ以下で入手可能という予想に反する低価格故に、どことなく不安が拭いきれないのもまた事実です。実際に確認してみると、表層はいたって滑らかで、熟成による落ち着いた姿や程よく熟れた表情は魅力的ですが(まだまだ置いておけます)、やや酸が浮ついており、中身の質感にゴワゴワとしたざらつきが多少見られるので、今回の1本は熟成によってベストの成長を迎えたとは言えないかもしれません(決してハズレではない)。しかし、それでもプリモ・パラテュームらしい質実な造りと、ミトロジアの名に恥じないポテンシャルや美点は不足なく伝わってくるので、まだまだ生きている果実感や豊かな体躯など、素直に楽しめ、かつ美味しく飲める要素はしっかり兼ね備えていると言えます。
他のプリモワインのような、圧倒的迫力や絶対的ポテンシャルを発揮してくれるようなタイプではありませんが、それでも熟成による魅力が手頃に楽しめるという大きなメリットがあり、なおかつこの価格帯であれば仮にハズレボトルに遭遇したとしてもそれほど大きな痛手はないので、もし見かけることがあれば積極的に試してもらいたいところです。
(2009/05)