- Good Quality -
ドニゼッティ作のオペラ「愛の妙薬」に出てくるインチキ薬売りの名前「ドゥルカマーラ」と名付けられたこのワイン。セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨンが70%にメルローが30%。熟成は300リットルのフレンチトノーを使用と、いたってストレートなボルドースタイルのワインとなっています。
ヴィンテージの恩恵を受けたバランスの良さと過不足のない充足感が伝わる、非常に良く出来たスタイルだと言えます。果実の熟度はしっかり感じられますが、各要素の充実度をひたすら高めたような「分かりやすい今時さ」を求めたタイプではなく、あくまでも表面の美しさやキレのある質感などをより重視した、ある意味イタリアらしい表情を持つワインと言えるかもしれません。
とにかく均整がとれ、明確な不足点が存在するようなこともありませんが、このクラスを感じさせるその世界観に反し、心に響いてくるような根本的訴求力や、絶対的美点といった要素が特に感じられないのがやや残念なところではあります。ある意味、ヴィンテージが良すぎたということなのかもしれませんが、多少崩れる部分があったとしても、キラリと光る魅力をどこかに持っていれば、より高い満足感が得られるような気もするので、とりあえずは今後の進化と成長に期待したいところです。
(2008/01)