- Good Quality -
カベルネ・ソーヴィニヨンを主体として、補助的にカベルネ・フランをブレンドしたワインがこの「マルチリアーノ」。産地はイタリア中部のウンブリアにある「モンテッキオ」。葡萄の平均樹齢は今現在で10年程度と、まだまだこれからといった状態ではありますが、既に高い評価を得ていることもあり、今後は更なる期待が持てそうです。
色調は濃く、墨汁、青海苔、岩海苔といった独特の風味が漂います。純粋なカベルネのイメージとは多少異なりますが、それほどクセや土着感が強いわけではないので、スタイルや表情が問題になることはないと思います。
内包した果実要素はすっかり熟れが見られ、心地よい酸との融合を既に果たしていますが、いかんせんタンニンが非常に強固で、ヒリヒリとした痺れや口中の乾き、そしてフィニッシュにかけての収斂感など、鉛を含むかのような重厚な資質が非常に気になります。体躯全体としては程よく落ち着きが見られるバランス感ではありますが、それでももうしばらく寝かせて熟成を促進したいところです。
抜栓日は特にタンニンの主張が強い傾向にあり、その他の要素との距離感もあるのでどうしても明確な美点が生まれてきません。しかし、翌日になると距離感のあった両要素が綺麗に重なりあい、当初見られた弱さを含む表情が見事なまでの世界観となって綺麗な昇華を果たしてくれます(ちょっとした驚きがある程のマッチング加減)。現時点でも兼ね備えた良さは伝わってきますが、それでもまだ真価を発揮している状態とは言えないので、内包したポテンシャルが全て遺憾なく解放され、かつポジティブに成長することを信じて、もう暫くのあいだ見守ってみるというのもアリかもしれません。
(2009/03)