- Good Quality -
樹齢80年の古木、リュットレゾネ、20hl/haの低収量と、通常のラ・パッションよりも上級のキュヴェといえるのがこの「ヴィエイユ・ヴィーニュ」です(限定1万2千本)。
ラ・パッションらしい良質な造りが伺えますが、そのスタイルや表情はかなり異なります。太陽のキャラクターが示すような陽的要素は特になく、枯れたような古樽系の風味が色濃く反映されており、相対的に酸、タンニン、スパイス風味などの方が果実味よりも前面に出てくる傾向にあります。同じ15%表記ですが表層的なアルコール感はあまりなく、ややひんやりした質感にパッケージングの良さなどが加わり、より落ち着いてゆったり飲むことができます(全体的にややこぢんまりとした印象)。
翌日に持ち越すと酸やタンニンになだらかな落ちが見られるようになりますが、その後さらに3日目まで持ち越すと、今度は相対的に果実味の方が前面に出る形となり、枯れた風味も一段落していることもあってか、通常のラ・パッションを長期熟成させてまったり落ち着かせたかのような心地よい雰囲気が出てきます。
「上級キュヴェ」といったスタンスが真摯に伝わる良質なワインではありますが、スタンダードの「ラ・パッション」を基準として考えると、価格の面や根本的なスタイルの差など、何かと注意すべき点も多いので、あえて同一ライン上で比較するよりも、「別次元に存在するラ・パッション(ifな立ち位置)」として補足的に捉えた方が、興味深さが増し、より一層楽しめるかもしれません。
(2009/02)