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作柄の良かった2002年のプルミエ・クリュですが、これはさすがに文句なく美味しい。陽的で愛嬌ある赤系果実の魅力に溢れ、その表情は1970年のヴォーヌ・ロマネにも共通するものがあります。まさに誰が飲んでも楽しめるスタイルで、今飲んで良し、まだまだ熟成させても良しといった、かなりの万能タイプだと言えます。どの熟成過程で飲んでも十分満足できそうな間口と懐の広さとが印象的なので、できる限り幅広く多くの人に堪能してもらいたいところです。
純粋に「味覚」という入り口だけで存分に楽しめてしまうというのがこのワインの最大の特長&魅力ですが、それでも決して表層的なワインというわけではなく、コアの堅牢感や一歩奥にあるキッチリ整った酸、そして陰で母体を支える仄かなミネラルや旨味が感じられ、どことなくパカレを彷彿とするような優しくたおやかな要素も兼ね備えています。
相対的なエネルギー量や秘めたるポテンシャルはさすがプルミエ・クリュといった印象ですが、丁寧な質感ながらも表層はいたって滑らかで、純粋な解像度そのものは村名格にやや近いレベルかもしれません。とはいえ、ぐだぐだ言う暇があったら素直に身を預けた方が確実に幸せになれるので(真摯に向き合わなくてもストレートにポテンシャルが伝わるというのが非常に素晴らしい)、和気あいあいとした笑顔ある食卓を彩るアイテムとしては、これ以上のものはないという程ピッタリはまります。
(2009/02)