- Good Quality -
当初、スペインの風雲児「テルモ・ロドリゲス」との共作ということで、一躍世間を賑わせた「バルデリス」です(現在はイサック・フェルナンデスが醸造を担当)。セパージュはティント・デル・パイス(テンプラニーリョ)100%。フレンチオーク80%、アメリカンオーク20%で、16〜18ヶ月間熟成されます。
かなり分かりやすいスタイルの仕立てが印象的で、醸造でガッチリとした濃厚系に導かれている雰囲気があります(ビオ系の佇まいは特にないかも?)。やや樽の風味が強く苦みが立つ傾向にあり、ギラッとした彩度の高さや、アメリカンオークらしい香水要素や薄めのラッシーを感じる発酵系乳酸飲料風味など、どちらかというと樽の比率は逆なのではないかとも感じます(米7:仏3ぐらいの印象)。
要素の充実度は十分なものがありますが、かなりツルリとした表層に細身で薄い液質という特徴からして、体躯を支える構造力に欠ける印象があります。堅牢な鎧を纏っていることもあり、どうしてもチグハグな印象を受けますが、それでも決して悪いワインではなく、むしろ価格に見合った格を感じる世界観があるので、全体的には良く出来た現代的スペインワインといった傾向にあります。
抜栓後数日経過させると、突出した要素が落ち着いて表情がかなり和む傾向にあったので、中~長期熟成による昇華具合によってはかなり違った印象を受けるかもしれません。数本ストックしている人であれば、数年かけて表情の推移を楽しむというのもまた面白いと思います。
(2008/12)