- Good Quality -
「勝沼甲州」は山梨県甲州市勝沼地区で栽培される甲州葡萄100%で造られ、この2007年は「Japan Wine Competition 2008(国産ワインコンクール)」で「金賞」を獲得しています。
甲州という葡萄が持つ表情は引きだされていますが、表層には人の力でしっかり磨きあげられたようなキラッと光る輝きがあり、最終的には「美味しく飲めてなんぼ」といったスタイルに行き着いています。シンプルに纏めると細身になりがちな甲州ですが、思った以上に領域が広い傾向にあり、全体を通じて体躯に豊かな構造力を感じます。造りとしてはまさに現代の甲州と言えるクリーンな仕上がりで、いつ誰とどのような場で飲んでも楽しめそうな指向性があるので、日本人であればほとんどの人が素直に楽しめると思います。よりコアな人にはグレイスの「菱山畑」をお薦めしたいところですが、一般向けであれば、同じく金賞を獲得した「グレイス甲州」よりもこちらの方が素直に楽しめるかもしれません。
ある意味、大手資本のメルシャンらしい期待通りの仕上がりと言え、決して記憶に残るような類いの美味しさを持っているわけではないものの、それでも秀逸なワインに匹敵するような不思議な浸透力があり、基本的に飲み疲れしないスタイルということもあってか、なんら無理なくスイスイ飲めてしまいます。数値的なアルコールはやや高めですが(13%)、特別突出した要素を感じさせない難のない仕上がりになっているので、気軽に飲んでそつなく楽しめる、各要素の平均点が高い(目立つ欠点のない)甲州ワインと言えるかもしれません。
(2008/12)