- Good Quality -
「茅ヶ岳」は山梨県北西部にある山麓で、質の良い葡萄が栽培出来る地域として知られていますが、クリュ的な意味合いとして、純粋な産地そのものではないので注意が必要です。造りは「グレイス甲州」と同じ「5ヶ月間のシュール・リー」が行われ、2007年は「Japan Wine Competition 2008(国産ワインコンクール)」で「銀賞」を受賞しています。生産本数は2万4,500本とさらに少なくなっていますが、価格は更に手頃なものとなっているので、立ち位置としては「特別」というよりも「別の切り口」といったものなのかもしれません。
今回の1本は僅かに状態に問題があるように見受けられましたが、実際の中身にはそれほど大きな影響を与えていないようだったので、まずは一安心といったところです(若干テクスチャが雑になる程度?)。
やはり通常の「グレイス甲州」とはスタイルが異なるようで、香り、酸、苦みなどがより立つ傾向にありますが、その反面、細身で軽やかなこともあり、ある意味「水」のようなサラリとした質感となっています。まさに「表情の異なる別のグレイス」といった感じで、体躯や構造力からくるような安定感はなく、全体としてのバランスや美点も一歩譲る印象ではありますが、単体としての存在ではなく「比較対象」としての観点を考慮すると、これはこれで興味深いアイテムだと言えます。
あえてこの茅ヶ岳だけを選択する意味はあまりないようにも思えますが、スタンダードな「グレイス甲州」ありきで考えると、グレイスシリーズや甲州という品種に対する理解度、そして今の日本のワイン全般に対する向き合い方など、付随する部分で多様なメリットがあるようにも感じるので、「他の甲州ワインとの飲み比べ」を前提としてお勧めしたいところです。
(2008/12)