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超ハイコストパフォーマンスを誇る、ユーステンバーグの「ノーブル・レイト・ハーヴェスト」です。2006年は残糖量が114g/l、総酸量が7.8g/lと、数値的にはどちらも過去最低水準ですが、PHが3.74と高めで、アルコール度数が14.5%と過去最高になっていることもあり、実際に飲むと「凝縮感の高い豊かな体躯」が非常に印象的なスタイルになっています。
色調の濃さや豊かな体躯は1年前と同じですが、ここにきて全体的な方向性が「パワー系」から「バランス系」に推移してきている印象です。サイズ自体はほどほどですが、ゆったりとした立体感があり、独自の目指す世界がそつなく構築されている傾向にあります。単純な甘さだけに頼るのではなく、補助要素を絡めて世界を構築するという指向性は1年の瓶熟を経た今でもしっかり継承されているので、このヴィンテージに見られた本質的な美点は今も健在です。ただし、今回のロットはやや苦みが立つ傾向にあり、しっかりと絞りきったような収斂系の要素も見られたので、実際に伝わる印象としては「1年前の方が印象的だった」とも言えます。
ともかく、この1年でグッと表情がほぐれているのは確かで、これまでのヴィンテージと同じように「1~2年の熟成で明確に昇華する」というスタイル自体に変化はないので、従来からのファンも大いに満足できる内容なのは間違いないと思います。
(2007/12、2008/11)