- Very Good Quality -
ビオディナミを語る上では欠かすことのできない巨匠、まさにビオディナミの伝道師とも呼べる「ニコラ・ジョリー」のワイン「クロ・ド・ラ・ベルジュリー」です。
抜栓直後はやや固い印象でしたが、数十分程度で無理なく綺麗に開いてくれたので、驚く程素直に楽しむことができました。近年になって一皮むけたと言われるニコラ・ジョリーのワインですが、まさに「収穫時期の見直し」がストレートに反映されている傾向にあり、貴腐系を色濃く感じる豊かな風味と心地よい甘味が、ビシッと筋の通ったミネラルとガッチリ組合うことで、文句のつけようがない美点となって具に伝わります。
現状では「ポテンシャル」の要素と、素直に味覚として伝わる「美味しさ」がちょうど半分ずつ分け合っているような状態で、まさに「最初の飲み頃を迎えつつある」といった印象を受けます。各構成要素はレ・ヴュー・クロよりも全ての面で少しずつ豊か、かつ緻密で、それらの差が積み重なることで相乗効果が生まれ、最終的にはとても大きな花を咲かせてくれます。
美味しい上にとても良く出来たワインであり、その優れた基礎構造力のおかげで、赤ワインと同じような高めの温度帯で飲んだとしても、なんら変わることの無い確固たる世界観と美点を披露してくれます。もしキリッとしたミネラル系の表情をより好む場合は、やや低めの温度を維持するよう心がけ、逆に豊満な貴腐的甘味をより好む場合はやや高めの温度になるよう意識し、さらに翌日に持ち越すぐらいのゆとりある時間を与えることで、最終的にそれぞれが望む万全の結果が得られると思います。
(2008/10)