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「リオハ」というスペインを代表する産地で、土着品種の「テンプラニーリョ」を使用して造られる「クリアンサ」です。
DOワインの中では最も熟成期間の短いクリアンサとなりますが、クリアンサとしての役割をしっかり考慮し、その中で表現できることをしっかり行っている印象を受けます。明確なビジョンを感じる世界観が構築されていることもあってか、抜栓直後から遺憾なく存分に楽しむことができます。
独自性のある酸味主体の表情や、どこか懐かしさを覚える枯れた風味など、伝統産地リオハとしてのアイデンティティが脈々と流れ、古典的なスペインワインとしての血筋がしっかりそこに流れています。しかし、それらを纏め上げているのはまさに現代的と言えるもので、安定感ある酒質に無駄の無い構造体、そして雑味の無いクリーン仕上がりなど、トラディショナルな指向性を感じる中身とは異なり、その外観はいたってモダンなスタイルで構築されています。やや果実に過熟風味がみられますが、酸味と相まって梅っぽい表情も生み出しているので、全体的にはポジティブに捉えることができます。まさに伝統と現代の良い所が組み合った新たな魅力がそこに存在しているので、これは今の人でも素直に楽しめる「伝統リオハ」と言えるかもしれません。
古き良き時代の遺産を受け継ぎながら、さらに現代、そして未来へと繋げる楔のような存在感があり、それでいて素直に楽しめる分かりやすい表情を持つこの「カンポ・アルト」、コスト的な側面を見てもかなり懐に優しい価格帯となっているので、スペインワイン派な人だけでなく、様々な人に試してもらいたいところです。
(2008/09)