福岡県八女市を中心として生産される「八女茶(やめちゃ)」。その八女茶を飛形山の湧水で低温抽出し、ワイン風に仕立てたのがこの「緑の雫」です。初回瓶詰は限定3,000本とかなりの少量生産になっています。
まず立ち上る香りからして独特。確かにお茶を感じさせる香りではありますが、どこか「抽出したエキスを配合」という様相が強く、決して自然な香りとは言い難いのが残念なところです。さらに、グラスに注いだ時にできる泡を光にかざすと、シャボン玉のような彩度の高い虹色の輝きがみられるのもやや気になる点ではあります。
味としては比較的辛口仕立てで、甘味はあるものの半歩程控えた傾向にあるので、全体的には適度な飲みやすさを感じる仕上がりになっています(やや梅酒的な雰囲気も?)。しかし、最も気になるのがその後味。製法上の問題なのか、それともSO2などの外的要因なのか、どこかケミカルな要素が漂い、仄かな甘苦さと独特の香りが相まって、顔をしかめたくなるような余韻がただ残ります。
八女茶を基準として考えると、名産品としての可能性が広がるアイテムとしてポジティブに捉えたいところですが、残念ながらワインとしては明確に評価できる内容には達していないので、心境としてはやや複雑といったところが正気な感想です。
(2008/09)