- Good Quality -
表情を構成する要素としては、南仏のシラーらしい豊満な体躯と濃密な黒系果実、そして胡椒的なスパイス風味など、飲み手の期待に即した世界観がキッチリ披露されます。しかし、それらをおさめる外郭は思いのほか軽やかかつサラリとしていて、全体としては飲み疲れしないような気軽な仕上げとなっています。
現代的なワインらしい整ったスタイルで、飲み口もいたって滑らかではありますが、抜栓日に印象的だったキュートさはそれほど長続きせず、翌日以降に持ち越すことで無機質な整然さや生気のなさが増加する傾向にあります。そういう意味ではもう少しアルコールがおさえられた方が良い結果を生む気もしますが(表記は13.5%)、それでも全体としては程よく調和がとれているので、ワインの価格帯と見据えたターゲットを考慮すると、現時点でもある程度適した着地点に位置しているとも言えます。
(2008/09)