- Good Quality -
セパージュは、ガルガネガ80%、トレッビアーノ20%。年間生産本数は4万本。有機農法で栽培し、野生酵母によって発酵。瓶詰めまではSO2を添加せず、最終的にSO2を約2mm添加します(無添加版もあり)。オーナーのアンジョリーノ・マウレによると、2006年は過去最高の年で、SO2添加版は無添加版よりもやや丸みがあり、キレもあって飲みやすいということなので、同時に両方を飲み比べてみるというのも面白いかもしれません(今回はSO2添加版を選択)。
黄金糖を彷彿とさせる濃い金色なのが印象的ですが、全体を通じて透明度のある奇麗な色調なので、濁りや澱みはいっさいありません。香りは強く立ち上り、極甘口ワインを彷彿とさせるような明確な甘味が感じ取れますが、実際に飲むとキレのあるスッキリした辛口なのに驚かされます。
特に抜栓日はこの位相変化の傾向が非常に強く、特に416/5といった細身のシャルドネ系グラスを用いた場合に顕著なので、無理なく一体感が増し、豊かな香りの広がりと質実な表情を素直に楽しめる大振りなグラス(416/97など)の使用をお勧めします(劇的に味が変わります)。ただし、翌日に持ち越した場合は自然に一体感が生まれてくれるので、時間をかけてじっくり楽しむ場合は素直に細身のグラスを選択してなんら問題はありません。
他にはない突出した個性と造りの良質さ、そしてオーナーも認める出来なだけあって、十分納得できるだけの内容と世界観を提示してくれます。どことなく「グラヴネル」や「ラディコン」を彷彿とする世界観ではありますが、両者のような圧倒的充実感に満ち溢れるタイプではなく、あくまでもボディ自体はスッキリ纏められているので(いたって現実的なスタンス)、より気軽に飲める身近なスタイルだと言えます。正直なところ、この内容をこの価格帯で実現していることに驚かされますが、それでも「美味しいワイン」というより「良質なワイン」といった傾向が強いので、その独特の個性からやや飲み手を選ぶワインなのかもしれません(個人的にはかなり推したいところですが)。
(2008/05)