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「マサンテ」に使用されるドルチェットは、モンフォルテ・ダルバにある「ブッシア・ソプラーナ」の区画で栽培されます。2002年までは「ドルチェット・ダルバ」として出荷されていましたが、現在は「ランゲ ドルチェット」に変更されています。
今回の1本はコルクの70%ほどが染み、部分的には吹く寸前のところまできていたので、ある程度の劣化は仕方ないと半ば覚悟していたのですが、実際にはそれほど目立った影響はなく、ピントの合ったクッキリ感にやや欠ける点をのぞけば(もとから?)、概ね問題ない状態でした。
ラベルデザインを一新し、名称も「マサンテ」の名を前面に押し出してきましたが、そういった新たな一歩に同調し、中身に関しても従来とは異なる新たな方向に舵を切ったように感じられます。溌剌系ではなくなり、丸くホワッとしていながらも、かなり豊かなボディが構築され、ドルチェットの持つ柔らかさや魅力的な表情が素直に楽しめます。アルコール度数は14.5%とかなり高くなっていますが、程よく整っているおかげか、強いアルコールを感じるような飲みにくさは特にありません。
どちらかと言うと、素直な美味しさよりも造りの良さをより感じる傾向にあり、造り手の目指す世界観やドルチェットのポテンシャルがゆったり見え始めたような印象を受けます。まだ極みに到達したような状態ではなく、着実に歩を進めている最中ではありますが、それでも「良質なワイン」「マサンテとしてのポテンシャル」といったあたりは十分感じられるので、ドルチェットという品種を理解している人には特にお薦めしたいところです。
(2008/05)