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ネゴシアンの「アーサー・バロレ・エ・フィス」は、ドクター・バロレ・コレクションを丸ごと購入したことでも話題となった「アンリ・ド・ヴィラモン」の傘下にあり、飲み頃のヴィンテージを手軽な価格で購入できる非常に有り難い存在だと言えます。
フラワリーでサクランボ的な風味が心地よく広がり、シャンボール・ミュジニーの魅力が素直に楽しめます。さすがに優良ヴィンテージのプルミエ・クリュなだけはあり、体躯に程よい骨格力と密度が感じられ、資質的な側面においても十分楽しめます。
抜栓後10分程度でグッと開き、その後は文句なく美味しいと感じる魅力的な表情を繰り広げてくれます(1時間程度あれば全開に)。圧倒的な表現力を見せてくれるような系統ではありませんが、兼ね備えたすべてのエネルギーを上手に配分している印象があり、表層的な味要素、体躯を構築する基礎体力、今後を見据えたポテンシャルなど、見事なバランス感覚で奇麗に「今の姿」を表現してくれます。
翌日に持ち越すと、果実的要素がなだらかに衰え、全体を眺めるとやや軋む外郭要素が残る印象にありますが(分かりやすい魅力がなくなるだけで、特にネガティブというわけではない)、それでも口の中でじっくり時間をかけて噛み砕いてやると、優しく仄かな果実味の佇む姿が垣間みれるので、このワインの本質部分における良質さは十分伝わってきます。
今すぐ飲んで楽しめる、優良ヴィンテージのシャンボール・ミュジニー、しかもプルミエ・クリュとなると、それだけでも十分有用な存在だと言えますが、加えて「相対的に手頃な価格で入手できる」ということを考えると、仮に多少のボトル差があったとしても、現実的にかなりお買い得感あるアイテムだと言えるのではないでしょうか。
(2008/02)