- Good Quality -
造り手の「ヘス・コレクション」は、スイス人のドナルド・ヘスが1986年にクリスチャン・ブラザーズから購入し始めたワイナリーですが、今回の「グランド・サークル」はよりリーズナブルなセカンド・ブランドとなっています。
カベルネ・ソーヴィニヨンらしい緑を感じるハーブ風味が心地よく漂いますが、思いのほか角が丸く柔らかな酒質なのが印象的で(メルロー的?)、素直に美味しいと感じられる程よいスタンスの仕立て具合になっています。抜栓日は若干一体感に欠ける傾向にありますが、翌日には熟れて「素直に甘く美味しいワイン」になってくれるので、日常味わうワインとしてのクオリティとしては十分だと思います。
恐らく補完品種をある程度使用していると思いますが、全体的に「手頃な価格帯でもヘスらしさと安定したクオリティを発揮したい」といったスタンスを導きだしているようで、決してカベルネ的なヴァラエタルワインという傾向にはなく、あくまでもカベルネ主体のブレンドワインといった印象を受けます。現代的で質実な造りにニューワールド的なわかりやすい甘味が加わった美味しいワインなのは確かですが、その甘さが若干人為的な傾向にあり、全体に行き渡る小奇麗な安定感も加わって、どちらかというと農作物(自然物)というよりも製品的な指向性をより強く感じます。といっても、決してネガティブなわけではなく、むしろヘスの意思がしっかりと行き渡った仕上がりだと言えるので(思い描くターゲットにピタリとハマる構成力)、「ワイン」そのものを敬遠しがちな層にも安心してお薦めできるアイテムだと思います。
(2008/01)