- Very Good Quality -
40年以上という長い熟成を経たバローロですが、1964年は60年代でも1、2を争う屈指のヴィンテージということもあり、現時点でもまったく問題なく楽しめます。以前飲んだ同じヴィンテージのバローロ(マルケージ・ディ・バローロ)とはスタイルが異なり、まだ力強さを感じる1本筋の通った体躯力が印象的で(相応の熟成感はあるが思ったよりも若い)、まさにバローロという特別なワインが持つ深遠なエネルギーを享受することができます。
味は思いのほかしっかりしているものの(表情自体はいたってシンプル)、香りは完全に熟れきっており、発酵した蜂蜜的要素や、やや熱の入りを感じるようなヒネ要素も感じられますが、しっかり時間を与えることで程よく昇華しきってくれるので、パニエやデキャンタを使用するか、翌日に持ち越すぐらいのゆとりを持てば特に問題ないと思います。そのスタイル故に賛否両論あるとはいえ、この時代のバローロは、多少放置したぐらいではへこたれないだけの堅牢感を持ち得ている傾向にあるので、膨大な量の澱にさえ注意すれば、最終的には想像以上のポテンシャルを発揮してくれると思います。
ある意味「状態次第」なのでリスクも多少ありますが、オールドのグレート・ヴィンテージが7k円レンジで買えるのであれば、価格に見合うだけの買い得感は十分得られると思います。基本的には「古酒派(枯れた風味が好きな人)」にのみお薦めできるアイテムだと言えますが、日本人としては「東京オリンピック開催」という記念すべき年でもあるので、当時を知る人であれば、昔を思い出しながら飲むという、琴線に触れるような「ワインならではの醍醐味」を重視するのもアリだと思います。
(2007/12)