- Good Quality -
顧客からのバックヴィンテージに対する要求を満たすために、各ドメーヌのセラーに眠る古酒の発掘を2年がかりで行い、状態が良く、自らの哲学に沿ったアイテムを400種類の中から約30アイテム厳選して「セレクション・ニコラ・ポテル」としてリリースしました。
品質がお墨付きの「ACブルゴーニュ古酒」というのはほとんど一般市場に出回らないと思うので、ある意味経験として「一度は飲んでみる価値アリ」と言えるかもしれません。コストパフォーマンスを考えても良心的な範疇におさまるので、ヴィンテージ云々に関係なく、まずは試してみることをお勧めします。
気になる状態の方ですが、さすがにニコラ・ポテルが認めただけあってかなり安心できる内容になっています。ノン・リコルクということですが、意外としっかりした長めのコルクが使用されていたので(生産者やヴィンテージ等の刻印はなし)、多なり小なり染みていても特に問題はないと思います。
見た目や香りからも「古酒」だということが伺い知れ、枯れた風味が存分に楽しめますが、思いのほかしっかりした酒質なのが印象的で、まだまだ果実の力が隅々までしっかり残っています。さすがに立体とまではいかないものの、コアに残る柱を中心として同心円上に広がりを見せ、力と柔らかさの両方を持った資質がうまく解放されるので、全体的には「まだ余力を感じる良質な古酒」といった印象になります。
ACブルゴーニュらしいシンプル&キュートな表情をベースに、酸と果実の甘みが明確に披露され(さすが優良ヴィンテージ?)、ヘタるどころか時間とともにどんどん広がっていくので、「抜栓後はすぐに飲みきらなければいけない」というような心配は一切必要ありません。大振りなグラスに入れて放置するとさすがに変化が早くなりますが、それでも飲み頃感は最後まで維持されていたので、多めに注いでその変化を楽しんだり、少しずつ注いで解放直後の果実味を楽しんだりと、多様な楽しみ方にも十分対応してくれます。今回は抜栓後2日目まで様子をうかがってみましたが、衰えるどころかむしろ昇華し、味も世界観もより一歩進んでいくだけの力を持ち得ていたので、「今飲む用」としてだけでなく、「しばらく置いておく用」としての役割も十分担ってくれると思います(決して「まだ熟成する」のではなく、「まだ衰えることはない」という点には要注意)。
(2007/11)