ローヌの自然派ということだけでなく、日本人の「大岡弘武氏」が手がけるということでも有名な「ラ・グランド・コリーヌ」のスタンダード・アイテム「ル・カノン」です。VDTなので基本はノン・ヴィンテージですが、今回の中身はグレート・ヴィンテージと言われる2005年になっています。
一般の評価も高く、話題にもなっているので実際の中身が気になるところですが、フレッシュ系のピチピチ感や丸い果実味があり、自然派らしい優しい表情を生み出してはいるものの、全体的にかなりこぢんまりとしていて、程々に漂うビオ臭や籠った湿気の陰鬱さからくる要素がすべての足を引っ張ります。そしてそれ以上に気になるのが、絶対的なコアが欠落している力なき姿で、外郭を残して主要な要素がすべて抜け落ちたような印象すら受けます(まるで軽く風味のついた水のよう…)。
翌日以降に持ち越すことで、多少なりとも力が戻ってくる傾向にありましたが(もしかすると極度の還元状態!?)、それでもやはり「実験中の未完成ワイン」といった印象が全体を支配しているので、残念ながら「普通に飲める」という以上のものは得られませんでした。
世の高評価を考えると、今回の1本は「超ハズレボトル」だった可能性もありますが、仮にそうだとしても「あり得ないほどムラがある」という結果につながるので、価格的な面を考慮しても、残念ながら積極的にお勧めできる理由が見つかりません。
(2007/07)