- Very Good Quality -
「一緒」という意味を持つワイン「リンシエメ」。エリオ・アルターレの主導により、主にバローロエリアの生産者が各々で最良の葡萄をブレンドして造ります。売り上げは若手醸造家の育成等にも当てられ、単なるプレミアムワインという位置にとどまらず、ピエモンテの伝統を守るという確固たる意志が込められています(年間生産本数は千本~程度)。
セパージュは、ネッビオーロ40%、バルベーラ30%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%。VDTなので基本的にはノン・ヴィンテージ扱いですが、ロットナンバーから1998年のワインだということがわかります。
ワインとしての完成度よりも「良質な葡萄の結集」に力点が置かれているのは他のリンシエメと同質ですが、今回の一本は力のあるイタリアらしい「酸」にスポットが当たり、そこをスタート地点として堅牢な体躯や凝縮した果実が周囲を固めるという、より質実なスタイルになっていました。
果実はやや過熟感があり、酒精強化系の風味も僅かに含有していますが、角のとれた丸い指向性と、時間とともに訪れる他要素との一体感のおかげで、必要以上にネガティブな印象は感じません。それよりも、基本スタイルがタンニン豊富&厳格系の密度感あるスタイルなので、身にまとった鎧を脱ぎ始めるまで暫く待つ必要があり、やや「忍耐」と「飲み手からの歩み寄り」が必要という点の方が気になるポイントかもしれません。
(2007/02)