- Good Quality -
お手軽な価格帯でありながらも高評価を受けるクヌンガ・ヒルですが、前回から6ヴィンテージぶりとなる今回の2004年は、パーカーの高評価が理解できる意義ある進化を遂げていました。
抜栓日は、同じく高評価を得るオーストラリアワインの「トリスト」ほどではないものの、やはり「作られた感」のある画一的なスタイルが気になりましたが、その高評価を得るに至ったであろう指向性や身の詰まり具合に「明確な意志」が感じられ、コストを抑えながらも可能な限りポテンシャルを引き出そうとする人の容姿が見え隠れします。
大量生産による安定供給の性か、酸化防止剤的な過剰なフラットさが感じられるので、やはり当初の印象は「悪くはないがそれ相応」という範疇におさまるものでした。しかし、翌日になると一気に昇華、変貌し、見事なまでのムッチリ感と豊満な甘み(ベタだが無理のないレベル)が前面に打ち出された「誰が飲んでも美味しい」スタイルになっていました。さらに3日目にもなると、この価格帯のワインではあまりみられない表層の解像感が垣間みられ、思いのほか質実な要素を兼ね備えているということが否が応でも伝わります。
表層だけを捉えて「パーカー好みの現代指向」と言ってしまえばそれまでですが、このワインを飲むことでデイリークラスの新しい可能性が垣間みれる気がするので、この方向性でより自然に優しい要素を加味していければ、将来的にはかなりお買い得感あるアイテムになるのではないか、と感じます。ともかく、現状でも課せられた役割は十分果たしていると思うので、より幅広い層に訴求するためにも、さらにポジティブになって「スクリューキャップの導入」を考慮する時期ではないかと感じましたが、そういう意味では「30周年記念ボトルのクヌンガ・ヒル(こちらは既にスクリューキャップ)」という展開は面白いアイデアだと思います。
(2007/01)