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造り手の「アスタエ」とは、ベルタ、ブライダ、ミケーレ・キャルロ、コッポ、プルノット、ヴィエッティという6つの伝統的な生産者が集まり、「バルベーラ・ダスティ」のイメージをより広く世の中に伝えるためにスタートさせたコンソーシアムとなっています。
抜栓直後は若々しい要素が強く、スッキリした北部系のイメージではありますが、前面にバナナやトロピカルフルーツ系の風味が打ち出されています。若さを感じる状態ながらも、全体的な求心力は思いのほか強く、凝縮感と葡萄の熟度が強調された現代的なスタイルであり、良質さや質実さという点においては世界的に見てもトップクオリティだと言えます。
かなりのレベルまで熟度が高められた印象が強く、バルベーラらしい酸は意志が感じられるものの一歩後ろに下がり、どことなく貞淑さを感じるような資質となっています。「バルベーラ・ダスティの真のポテンシャルを高い完成度で構築する」というよりは、「それぞれの生産者が独自に高クオリティのバルベーラを生み出し最終的に結集させた」という印象が強く、良くも悪くも「アスタエというコンソーシアムのコンセプトがワインのスタイルにも明確に表現されている」と言えます。翌日以降に持ち越すことで本来の質実な表情が露になりはじめますが、それでも基本スタンスは明確化された通りなので、ある意味において強固な初志貫徹魂を感じます。
既存の一般的なバルベーラ・ダスティとは一線を画す造りになっているのは確かなので、単純に同列で比較することは難しいのですが、「新しい可能性」を明確に提示している点は賞賛すべきであり(仮にそれが商業的な理由であったとしても)、なによりその意志に対して真っ向から受け止めるチャンスを与えてもらっているという事実は、飲み手にとっては非常に有り難い状態だと言えます。
(2007/01)