- Good Quality -
安定した酒質を誇るオールド・ヴィンテージながら、懐に優しい日常価格帯を維持してくれる有り難い造り手が「パラシオ・デ・アルガンサ」です。
思った以上に強固な酒質で、渋みと苦みが強く感じられる長熟系トラディショナルワインだと言えます。若さを感じる「整然さ」がありますが、さすがに30年以上経過しているだけあって古酒的なオーラが奥底にあり、その厳格な表情からしてまだまだこれからが本番といった印象を受けます。このヴィンテージに限らず、アルガンサのワインは総じて「ラベル」や「コルク」などが真新しいので、もしかすると「通常ボトル=リコンディション」なのかもしれません。
スタイルそのものは古典的でありながら、どこか整った姿や落ち着きが感じられるので、見方によっては現代的な様相を呈しているとも言えますが、今回のヴィンテージはどこか体躯の中央レンジがスルッと抜け落ちたようなポッカリ感があり(時間とともに目立たなくなるのでリコンディション(?)による副作用かも!?)、厳めしいコアに焦点が集中する傾向にあったので、古酒らしい落ち着いた酒質を享受する為にはもう数年寝かせておきたいと感じました。といっても、基本的にはこれ以上よくなるようなことはないと思うので、落ち着いた酒質のためだけに数年待つというのは非現実的かもしれません。
アルガンサの他のヴィンテージと比較すると、全体的にあまり魅力が感じられず、指向性が内向的なこともあって一般受けするようなスタイルではありませんが、「70年代の質実なオールドヴィンテージ」という観点から考えると、群を抜くコストパフォーマンスを発揮していることは事実なので(数日程度では放置してもびくともしないので、酒質の安定感だけは群を抜いて抜群です)、「当たり/はずれ」の激しいハイリスクな古酒事情を考えると、相対的にはそう悪い選択肢ではないと思います。
(2006/11)