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10年以上熟成したシャプティエのサン・ジョセフですが、ラベルなどのボトル外観が思いのほか綺麗で、コルクにいたっては数年しか経過してないような新しさとなっていました。見るからにリコルクボトルといった印象ですが、コルクの刻印は1995年で、それらしい表記は特に見当たらないので詳細は謎です。
大きく広がるようなタイプではありませんが、土壌、ハーブ、漢方など、多様な要素が一体となった複雑さがあり、心地よい香りが抜栓直後から素直に届きます。思った以上に若さを感じる瑞々しさがあり、適度なサイズの体躯ながらも凝縮感を感じる質実な素性が印象的です。
程よい熟成感があり、素直に楽しめる良質なワインなのは確かですが、時間の経過とともに刻一刻と落ちていく傾向にあり、グラスの最初の一口から最後の一口までの落差が意外に大きいので、もう数年早めに飲んだ方がより楽しめたように感じます。
抜栓直後こそ凝縮果実を感じますが、その後時間とともにタンニン、そして酸が主体となって体躯の解体が始まり、最終的には軽いヒネ風味が漂う古酒的世界の入り口に到達します。とはいえ、バランスが崩れるほどの変化ではなく、封じ込められていた時間が一気に解放されて本質が露になるといった変容具合なので、本質的にはそう悪い印象ではありません(コアは比較的安定している)。
価格に見合った満足感が得られるかどうかはやや微妙ですが、新しいヴィンテージでも同価格帯に位置していることを考えると、手軽に熟成したワインを楽しみたい場合にはちょうど良い選択肢になるかもしれません。
(2006/10)