- Good Quality -
2004年度のワインスペクテイターで年間32位を獲得したキャンティ・クラッシコです。ステンレスタンクによる醗酵後、225、300リットルのバリック(フレンチオーク80%、 アメリカンオーク20%)で16ヶ月熟成(新樽比率50%)、 その後最低6ヵ月の瓶熟を経てリリースされます。
樽風味が強くなりすぎる傾向があるので、キャンティではやや敬遠される風潮もある「リゼルヴァ」ですが、やや苦みがあるものの現状でも素直に楽しめる仕立て具合になっているので、表層的な観点を重視した場合は比較的満足できる内容になっています。
崩壊しない範疇におさめつつ、なおかつ現代的な嗜好を多少考慮したスタイルには納得できますが、コアに必要な葡萄力がややフラットで、相対的に力不足な印象を受けるのが残念なところです。とはいえ、抜栓翌日になるとこれらの要素が一体化し、将来的な性質の変貌を予感させる内容を垣間見せてくれたので、よりバランスのとれたミディアム・ボディなキャンティ・クラッシコ(よりトラディショナルなスタイル)が好みな場合は、もう数年程寝かせておいた方が高い満足感が得られるかもしれません。
WS誌の高評価もある程度は理解できますが、決して偉大なキャンティ・クラッシコ達と肩を並べるような世界観を見せてくれるわけではなく、あくまでも「価格に見合った良質なキャンティ・クラッシコ」といったものなので、高い評価に煽られて過大な期待を持つことだけは避けた方が無難です(逆に情報を排除して飲んだ方が楽しめそう)。
(2006/01)