- Very Good Quality -
フォンタナフレッダが少量生産で世に送り出す単一クリュのバローロです。現在では、優れたテロワールを選んでモダンな製法を取り入れた新しいラインナップとなる「テニメンティ・フォンタナフレッダ」に属し、「デリツィア」のクリュとの統合によって「ラッツァリート ヴィーニャ・ラ・デリツィア」として進化を続けています。
現地のイタリア人店主に「このワインは寝かせておいた方が良い」と言われたのですが、抜栓することでその言葉の本当の意味が理解できました。現時点でも飲めなくはないのですが、屈強で揺るぎのないタンニンが行き渡り、フィニッシュにかけてかなりの渋さを感じます。表情としてはややモダンな傾向も感じられますが(アイデンティティの確立や進むべき方向がまだ定まっていない印象あり)、本質的には「超頑固親父気質」なバローロなので、8年強程度の熟成ではまだまだ向き合う余裕を与えてくれません。
多くはないものの、フレッシュで柔らかい果実風味がまだ感じられるので、グラスに入れて間もなくは比較的素直に飲むことができます。しかし、時間の経過とともに重量級のタンニンが一方的に広がっていくので、現状ではまったくバランスがとれていない状態だと言えます。1975年のボルドーワインのような「必要以上に突出した頑固なタンニンによるバランスの不均衡」と共通する問題があるようにも思えますが、ローレンジからハイレンジまでの一貫した積層感があり(しかも結構緻密)、秘めたるポテンシャルに関してはある程度評価ができる内容だと言えます。デキャンタで30時間程経過させた頃には将来的な飛躍が期待できるだけの世界観も披露してくれたので、うまく成長してくれることを信じて後5~10年ぐらいは様子を見てみたいところです。
※今回試飲したのは現地流通ボトルとなっています
(2006/01)