- Good Quality -
もっとも優れた葡萄のみを選んで造られるサンジョヴェーゼ100%の「ペッキア」。1999年がファースト・ヴィンテージとなるガッリオーレの最高傑作ですが、翌年となる2000年は「ペッキアとしてのクオリティに達していない」という理由で生産が見送られました。その結果、本来はペッキアになっていたであろうサンジョヴェーゼが、格下げしてこのガッリオーレ・ロッソに使用されています。
色や香りから、凝縮感のある現代的な造りであることが推測できます。ややセメダイン系の香りもしますが、それほどマイナスな印象はありません。サンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドとなっていますが、基本的にはサンジョヴェーゼの酸を活かしたモダンな造りに仕立てられているので、グラスはサンジョヴェーゼ用(416/15)のものを選択した方が良い結果が得られると思います。ボルドー用(416/0)だと表面の丸みや構造のゆるみが強調される傾向にあったので、場合によっては良い面が打ち消されてしまうかもしれません。
サンジョヴェーゼの品位、カベルネ・ソーヴィニヨンの構造力、ルカ・ダットーマの手腕、テロワール、それぞれの様々な要素がうまく纏め上げられ、結果として良質でモダンなスタイルを紡ぎ出していますが、それでも根本的な訴求力がやや不足している感があり、印象としては「美味しいワイン」や「良質なワイン」といった素直に評価できるタイプではなく、「奥底に何らかの力を備えているものの、現状ではやや宝の持ち腐れ感あり…」といった傾向にありました。構造体の表層があまりにも丸く、コアの動きに追従するシャープさに欠けているのですが、もしかするとヴィンテージの影響が色濃く表れているのかもしれません。
「本来ペッキアに使用される葡萄が使用されている」と、良い方向に受け取ることも確かに可能ですが、逆に「ペッキアが造れない程のヴィンテージ」とも受け取れるので、過剰な期待は禁物なのかも…。とはいえ、モダンなスタイルによる明快な魅力は健在で、ワインスペクテイターにおいても高い評価を得ているので、飲む人の嗜好性によっては高い満足感が得られるのかもしれません。
(2005/04)