- Good Quality -
テュヌヴァンの手によるシンデレラワイン「シャトー・ド・ヴァランドロー」のセカンドラベルとして有名な「ヴィルジニー・ド・ヴァランドロー」です。
やや控えめながらも香りに一体感があり、凝縮感と程よい熟成感が心地よく鼻腔を通ります。味の方はこなれた樽風味と熟した果実が融合し、それらを回り込むようにして酸が行き渡ります。柔らかい甘草風味が果実の表情を際立たせ、纏まりと密度感のあるタンニンが飲み手に心地よさを与えてくれるので、安心して体を預けることができます。
登場して間もなく話題をさらっていった「ヴァランドロー」の血筋を受け継いでいるということもあり、当初は今時を突き進むモダンなスタイルだと思っていました。しかし、実際にはトラディショナルなベースに現代的な果実の魅力を付加したような、良いとこ取りのハイブリッド的指向を感じます。98年らしいクリアさや質実さも感じますが、ヴァランドローとしての果実力や滋味的訴求力が上質になっているので、相対的な満足感は思いのほか高いと思います。絶対価格はやや高めではありますが、ファースト・ラベルであるシャトー・ド・ヴァランドローとの対価を考えれば、納得できるコストパフォーマンスを維持できているとも考えられるので、それほど大きなマイナスポイントにはならないと思います。
現状で既に飲み頃を迎えつつありますが、それでも小振りなグラスだと各要素が立ち気味でやや若く荒めな印象を受けるので、存分にポテンシャルを引き出せるよう大振りなグラス(リーデルの416/0など)を使用することをお薦めします。
(2005/01)