- Recommended -
ブルナーテの畑はラ・モッラとバローロにまたがっていますが、チェレットの畑はラ・モッラ側にあり、海抜276〜342mの南東向き、広さは5.6haとなっています。
クリュがラ・モッラということもあり、基本的なスタイルとしてはエレガントなタイプのバローロになります。しかし、1997年というヴィンテージの影響が色濃く反映されているので、実際にはしっかりとした果実の甘味を享受できるスタイルとなっていました。そういう意味ではテロワールよりもヴィンテージの影響が強く表れていると言えるでしょう。
抜栓直後から、枯れ葉、クルミ、黒蜜といった心地よい香りが広がり、バローロの魅力あるアイデンティティを遺憾なく発揮してくれます。今回は抜栓後すぐにデキャンタに移し、約3時間経過した頃に飲み始めました。当初はチェレットらしいピリッと苦みのあるタンニンとどっしりした樽風味が立っていましたが、時間の経過とともに徐々にほぐれていくのでさほど気になることはありませんでした。全体としては控えめなボリュームでしっかりした酸味が活きたものではありますが、開くにつれて果実の甘味が大きく強くなっていくので、かなりわかりやすいモダンな表情となっています。一般的にバローロが苦手だと言う人でも、これならば素直に魅力を受け止めることができるのではないでしょうか。
飲み始めはタンニンと果実味がそれぞれ独立して立ち誇っていましたが、抜栓から5時間ほど経過する頃には融和し始め、1本筋の通った構造へと推移します。現状でも思った以上に飲み頃感がありますが、より高い次元でポテンシャルを引き出そうと思うのであれば、もう暫く寝かせておくか、もしくは抜栓後にしっかり時間を与えてやる方が良いと思います。想像以上に1997年というヴィンテージの影響が反映されているので賛否が別れそうですが、兼ね備えたポテンシャルそのものはしっかりと評価できる上に、なにより素直に美味しく飲めてしまうので、個人的には肯定して良い方向に導いてあげたい気分です。
(2005/01)