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1991年創業と歴史は浅いのですが、グレーヴェ・イン・キャンティの標高500m付近で造られる葡萄は、そのほとんどが1920年代に植えられた「ラモーレ」というサンジョヴェーゼのクローンとなっています。このワインを手掛けるヴィットリオ・フィオーレは、コンサルティング・ワインメーカーとしての優れた能力を発揮し、テロワールの良さと古木の特長を生かして不作の年でも良きワインを造り続けます。
秘めたる魅力は少しずつ出始めているので現状でも美味しく飲むことはできますが、全体的な融合統一感はまだまだこれからといったところなので、できれば後2~5年ぐらいは熟成させた方がより魅力ある表情と感動を飲み手に与えてくれると思います。
抜栓日はサンジョヴェーゼの綺麗な伸びのある酸が生き生きとしていて、それに追従するように果実の甘みとボディを支えるタンニンが続きます。翌日になると荘厳で辛辣な面を持つタンニンと、より響き渡るアルコール感が前面に打ち出されるようになりますが、それが逆に将来への期待へと繋がります。
わかりやすい華のあるようなタイプとは若干異なりますが、硬質感のある厳粛な姿は、サンジョヴェーゼの持つポテンシャルと可能性を提示してくれるようでもあります。価格の問題もあるので幅広くお勧めすできるわけではありませんが、ハイパフォーマンス系サンジョヴェーゼが好きな人にはぜひお薦めしたい一本です。可能であれば、よりよく熟成したヴィンテージを飲んでみたいところです。
(2003/11)