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シャトー・レオヴィル・ラス・カーズのセカンドラベルであるクロ・デュ・マルキです。今回飲んだ98年は、思いのほか懐が深く判断が難しい内容となっていました。
抜栓日はタールの香りが強く、酸と痺れる渋みや苦みが横行するアンバランスなものになっており、全体的な印象としても平たくこぢんまりとした印象で、フィニッシュも比較的短めでした。しかし翌日になると状況が一辺。控えめではありますが、1996年のクロ・デュ・マルキが脳裏をよぎるような果実の甘みが仄かに漂い、本来持つ魅力が少しずつ顔を見せ始めます。確かにボリュームには欠けますが、初日は果実の甘み自体が皆無だったので、あまりの変貌ぶりに正直驚きました。さらに3日目になると、今度はボディの構造力とフィニッシュの広がりが増し、偉大ではないが良質なポテンシャルを内に秘めているという事を、より良く理解できる内容へと推移していきます。
トラディショナルなスタイルで、素直に美味しいと感じる内容ではないので難易度は高めですが、今後より多くの時間を与えてやる事で、本来の資質をより引き出せるようになると思います。満足度は飲み手に大きく依存しそうですが、クロ・デュ・マルキの中では比較的コストパフォーマンスが高いヴィンテージだと言えるので、より融和するであろう数年後を見据えてストックしておいてはどうでしょうか。
(2003/10)