- Recommended -
歴史的な葡萄畑「ヴィーニャ・カッペッラ・ディ・サント・ステファノ」の区画から穫れる葡萄だけで造る、ロッケ・デイ・マンゾーニの最高峰バローロです。
抜栓直後に感じる樽香だけでも、こちらが望むバローロ像をそのまま提供してくれそうな余韻が伺えます。ベースを支える堅牢なタンニン、そしてその上に乗る綺麗な酸、さらにその周囲を薄く包むアルコール。果実そのものの大きさは細めながらも、しっかりと中心に位置し、甘く魅力的な表情が時間とともに姿を現します。直感的な味としては、確かにヴィーニャ・ビッグの広がりとヴィーニャ・ドラ・ロウルの力強さを融合させたもののように感じるのですが、2つのクリュを足しても絶対同じにはならない、根幹部分での魅力と洗練さによる絶対的な訴求力が異なる次元で確かに存在します。洗練され流麗なスタイルというのはマンゾーニの他のバローロと共通しているのですが、なぜか実際に伝わってくる印象がまるで違います。
仮にひとつを選べというのなら、他の両クリュではなく断然こちらをお薦めしますが、逆にこのクリュの良さを心から理解するには、他の両クリュの存在なくては難しいというのもまた事実です。どれだけの人がこのバローロの真価を感じられるかは若干不透明ですが、だからこそ逆にこれからバローロを飲むという人にお薦めしたくなります。最後は理論や理屈ではなく、ワインそのものが持つ力に委ねられるのではないでしょうか。
(2003/05)